このHPは、自家用軽飛行機「ハスキー」でアラスカを飛んだ飛行家の記録サイトです

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「ALASKAの大自然とアラスカの大空」Q&A

このHP開設から約7年、いままでお寄せいただいた質問から少しピックアップしてご紹介します

質問1
 飛行機から撮っている写真は、どうやってカメラを操作しているのですか?撮影時には、飛行機の操縦をどうしているのですか?

 「アラスカ極北飛行」の第五章. 極北冬飛行で書いてありますが、片手でカメラを持ち、片手で操縦桿を操っています。ただし、操縦桿は右手でコントロールする物であるのに対してカメラも右手で持つものなので、そこが困りどころです。そこで私は反対の手である左手で操縦桿を握り、右手でカメラを操作しています。左手で操縦するとまっすぐ飛んでいるときはいいのですが、急旋回などをしているときは不思議な感覚になります。それでもカメラはどうしても右手で持たなくてはいけないので我慢して操縦しています。

 ちなみに両手でしっかりとブレないように撮りたいときは(暗いときとか)股に操縦桿をはさんで飛行機を安定させつつ撮影します。谷間を這うように飛んでいるときに撮影すると、ちょっとしたスリルがありますね。


質問2
 飛行中はカメラのファインダーをのぞいて撮影しているのですか?

 いい質問ですね、飛行中にファインダーをのぞくのは危険ですが、そうすると撮影できなくなるので撮影前にしっかりと三六〇度周囲を確認してから、ファインダーをのぞくようにしています。しかし谷や超低空の時は、さすがに外の視界から目を離せないので、その時ばかりはノーファインダー(ファインダーを見ないでカンで)で撮影しています。
 でも空撮は作品作りでもあるので、ファインダーをのぞかないで撮影するのは好きではありません。偶然に撮れた写真で良いものはあまりなく、やはり自分でファインダーをのぞき、構図を計算して切り取った風景こそが、その時の空気感と自分が感じた思いを表すことが出来るのではないかと思っています。


質問3
 どうやったら戦闘機パイロットになれるのですか?特殊な適正とか必要なのですか?

 なりたいと思えば誰でもなれます(視力とかの身体的条件はありますが)。えっ?俺が?という戦闘機パイロットはすごく多いです。自衛隊に入って訓練に耐えることが出来れば・・きっとなれるはず。戦闘機パイロットになるには、数種類の入隊コースがありますが、どんな勉強が必要なのか?などは、最寄りの自衛隊募集事務所で聞いてください。戦闘機パイロットになりたいと思っている人で個人的にもっと知りたいと思う人は、直接メール下さいね。
 ちなみに自分のやって来た仕事で恐縮ではありますが、戦闘機パイロットという仕事は本当に面白いものです。飛行機というものは「3次元空間をある目標に向かって自由自在に飛べる」ということができる乗り物ですから、そういう意味で現代における唯一無二の創造的な動きのできる飛行機であると思います。強大なエネルギー、最先端のテクノロジー(F15は結構古いですが)を駆使して大空という広大な空間で大自然と向き合うダイナミズムは、確かに素晴らしい世界。その裏にある厳しい規則や訓練は別としても、やりたい、と思うのであれば目指す価値は十分あるかと思います。


質問3
 突然ですけど、湯口さんは「アラスカ極北飛行」で登場する、あんな景色の中にいたら神さまを感じませんか?私は「困った時の神頼み」しか知りませんけど、ナマであんな景色を見たら「神さまがいる」って感じると思います。でも人間の幸、不幸なんかにはかかわらない神さまです。


 神様のような存在は、なんとなく信じますね。 でもキリストや仏陀のような存在ではなく、もっと自然そのものという感じの、なんというか、もやっとした雰囲気としてですが。
 「人間の幸、不幸なんかにはかかわらない神さま」という言葉は、言い得て妙ですね。確かにアラスカの風景は、私達とは全く関係ないところで動いている美しい様相な気もします。
 でも私達人間もアラスカの自然と同じ円環の中に存在しているわけですから、できればもっと、その風景のように強く美しく生き、互いに共存したいものですよね。しかし、なかなかそうはいかないのがこの世の常。実際の人間世界は、推して知るべしです。美しい自然風景を見れば見るほど、人間社会で起こっている様々な出来事が、とんでもない愚行に見えたり、どうでも良いことに感じたりして本当に憤りを感じます。
 そういうギャップを埋めるのが自分の仕事かなと思ったりはしています。